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■スタジオジブリの好奇心 小冊子『熱風』2010年6号 特集「赤毛のアン」



 『借りぐらしのアリエッティ』の最新の予告映像がTV番組(日本テレビ系列)で昨日解禁されたようで、これから公開日に向けて『アリエッティ』の情報が色々と増えてきそうですが、私が今日紹介したいのは『アリエッティ』についてのことではなく、毎月10日にスタジオジブリが発行している小冊子『熱風』についてです。

 この小冊子は、スタジオジブリの機関紙ですので、毎号ではありませんが、たびたび高畑勲や宮崎駿のインタビューやらコラム、または講演会での発言内容などが掲載されており、高畑勲・宮崎駿ファンの私にとっては二人のどちらかの記事が載った『熱風』は見逃すわけにはいけません。以前、私がこのブログで紹介した高畑勲の著書『一枚の絵から 海外編』と『一枚の絵から 日本編』の2冊はそもそも実はこの『熱風』で掲載されていたものをまとめたものです。
 基本的に『熱風』の毎月のテーマ(特集)は、その時々にスタジオジブリが関心を示していることから決められ、アニメと関係がないものの特集になることも多いです。例えば、今年の3月に発行された『熱風』では「村上春樹」特集、4月は「歌舞伎座」特集といったように時勢に沿ったような特集もみられます。高畑勲や宮崎駿が『熱風』の紙面に載るときは、大体二人のどちらかが非常に興味関心がある特集であるか、何かしらのかたちで関わった作品が特集される場合のどちらかです。

 今月の『熱風』は、今年の7月17日から渋谷シネマ・アンジェリカなどで『赤毛のアン~グリーンゲーブルズへの道~』が公開されることからか、「赤毛のアン」特集でした。この『赤毛のアン~グリーンゲーブルズへの道~』はTVシリーズの1~6話を、演出の高畑勲自身が監修して再編集した劇場版だそうで、再編集された1989年当時には正式な公開には至らなくお蔵入りしていた物をこれは勿体無いとして、この夏に小規模ではありますが、映画館で公開するようです。特集の記事には、TVシリーズ『赤毛のアン』の制作者からは演出の高畑勲とプロデューサーの中島順三の二人の記事がありました。
 まず高畑勲の記事を読んでわかったことは、『赤毛のアン~グリーンゲーブルズへの道~』というのは「冒頭の、アンがグリーンゲーブルズに置いてもらえるところまでをまとめたらうまい具合に1本の映画になるな、と思いついた」ことがきっかけで、高畑勲がつくろうと思った映画であり、つくるために「もし好評ならば、第2弾、第3弾も作れるじゃないですか、だから、その第1弾として作ってみたらどうでしょう、という提案」を本人自らしたようです。ただし、高畑勲はTVシリーズの総集編のことを「劇場用に作っていないんだから、52話分をいくら刈り込んでもロクなものにはなりません。有名場面を綴り合わせてお茶を濁すしかない。せっかく丁寧に描いた日常の魅力をみんな取り落としてしまう」といっているように否定的であり、ただ冒頭からグリーンゲーブルズまでの話をつなぎ合わせると映画になると思って、まず1本の映画をつくるために「第2弾、第3弾も作れる」という方便を使っただけで具体的に第2弾、第3弾の構想があったわけではないみたいです。たとえそれが事実であるとしても、『機動戦士ガンダム』のように『赤毛のアン』もTVシリーズから総集編3本つくられる可能性があったかと思うと、なんか面白いですね。だけれど、まあその結果は、上にも書いてあるように全然だめで残念ながら1本目の映画ですらお蔵入りとなりました。
 総集編映画以外の話で、高畑勲のアンのキャラ作りについての話が面白かったのでそれもここに引用します。まずアンのキャラクターデザインについては「骸骨のように痩せてて、目だけ大きくて、そばかすで、隣人のリンド夫人に「凄い子だねえ」と言われるような変な女の子の顔でなけりゃならない。それでいてどこか不思議な魅力もあり、骨格としては将来は美人になる顔でなくてはならないわけです」といったように高畑勲の注文は複雑で、キャラクターデザイン担当の近藤喜文は大変四苦八苦したようです。そして、アンの声優については、実は「島本須美さんと山田栄子さんの2人が候補として残ったんです。それで大半の人は島本須美さんを推しました。島本さんが本当にきれいな声だったからです。原作にもアンはきれいな声だとあるし、当然島本さんですよね。しかし、僕は山田さんを選んだんです」と高畑勲は語っています。島本須美はクラリスやナウシカの声優の役をやったことで有名ですが、なぜ高畑勲が山田栄子を選んだかというと、「ユーモアと客観性に関係するんです。この作品にはユーモアが必要。澄んだ声でエロキューションも一流だと、すんなり身に合った台詞に聞こえてしまうのではないか。でもアンはある意味背伸びしてるんだし、子どもにしては言葉を飾りすぎるわけなんだから、それをちゃんと感じさせたい。そう考えると、山田さんの声のほうがいい。彼女には失礼だけど、まだ上手でもない。でも、その一所懸命さがいい方に働くに決まっている。一所懸命背伸びした物言いをしたり、子どものくせにあんなことを言ったりして……というようなことが醸し出すユーモアというのは、なかなか言葉の内容だけで伝えるのは無理なんです」ということだ。うーん深い。声の質や、発声のうまさだけで決めない姿勢は、本職の声優をあまり起用しない今のスタジオジブリ作品に似通う部分があると思いますが、はたして最近の宮崎駿作品(ここが重要です)で、上の高畑勲のような深い洞察の経て、俳優や女優などを含めた芸能人をキャスティングしているのでしょうか。個人的な意見ではありますが、私は高畑勲の映画を観て、キャラクターの声に違和感を感じたことはほとんどありません。でも、最近の宮崎駿の映画では、たまにうぬぬと首を傾げてしまうような声があることは否定できません。あまりこのことには深入りしたくないので、多くは語らないし多くを語るような資格もないですけど、問題の本質は本職の声優を使う使わないではなく、キャラに合った声を適材適所に配置すること、ただそれだけでしょう。スタジオジブリ映画の声のキャスティングは高畑勲に全部任せたほうがいいんじゃないかと半ば本気に思ったりしてしまいます。
 高畑勲の記事についてはこれまでにして、プロデューサーだった中島順三の記事で気になったことを挙げると、キャラクターデザイン担当でもあり作画監督でもあった近藤喜文がシリーズ後半で肺の病気になっても、仕事を続けたということです。「あの時の近藤さんに勇気ある決断をさせたのは一体何だったのか、ちゃんと本人の口から聞いておくべきでした。あの時入院治療を選択していたら現在の形で「赤毛のアン」は残っていなかったのは間違いないのですから」。高畑勲、宮崎駿の両氏に必要とされた近藤喜文が果たしたアニメーションへの献身に私は唯々感謝します。
 制作関係者以外には、「赤毛のアン」特集に寄せて、マンガ家の高橋留美子、駐日カナダ大使夫人のポーラ・ヴァイアンクー、アンと同じ名前の女優杏、子どもの時TVアニメ「赤毛のアン」をみて育った作家の柴崎友香、批評家の宇野常寛らの書いた記事があり、その人たちにとっての「赤毛のアン」が語られていました。

 『熱風』はフリーペーパーで無料なのですが、設置書店が限られているので、住んでいる地域によっては入手するのが困難かもしれません。ただ有料であれば定期購読できる方法はあるので、設置書店が付近になくて、でもどうしても『熱風』が読みたいという方はスタジオジブリ出版部のサイトページをご覧になるのをおすすめします。
※バックナンバーは取り扱っていないようです。

 
 
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テーマ:スタジオジブリ - ジャンル:映画

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  1. 2010/06/11(金) 08:01:56|
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