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■日本映画の可能性 トラン・アン・ユン監督『ノルウェイの森』



 村上春樹原作の映画『ノルウェイの森』を観てきた。私は村上春樹の小説は大体読んでいて、その中で『ノルウェイの森』は特に好きな部類の小説ではないのだけど、もちろん既読済みではある。1065万部と日本で一番売れている小説(映画パンフレットより)で、その内容の性描写の多さなどから、毀誉褒貶の激しい作品ではあるが、ベトナム系フランス人のトラン・アン・ユンが監督をするということで、外国人の監督がこの原作をどう料理するのかしばらく前から楽しみにしていた。
 原作既読者としての感想をここで述べるとすると、原作を読んだ人間(あくまで私という人間の主観ではあるが)にとって、トラン監督による『ノルウェイの森』の映画化は非常に幸せなものだったと思う。この映画の空気感や美しさはトラン監督にしか出せないと思わせるものであったし、室外での撮影と室内の装飾や小道具、服装など画面作りにかけるこだわりや徹底さが感じられ、とてもよかった。キャストは日本人で、舞台は日本であるから、れっきとした日本映画のひとつであるのは確かではあるが、監督をはじめメインスタッフに外国人がいることが、この映画を日本人監督による日本映画とは一線を画する出来にしている。しかも、脚本には原作者である村上春樹のチェックが入っていたり、音楽には世界的音楽バンドであるレディオヘッドのギタリストであるジョニー・グリーンウッドが務めていて、使用許可がなかなか下りないビートルズの曲(映画タイトルと同名の「ノルウェーの森」)もしっかり流れることを考えると、村上春樹ファンからしたらこれ以上望むべくもない環境で出来た映画だったのではないだろうか。キャストの好き嫌いは個人各々あるには違いないが、それを含めても私としては満足のいく映画だった。
 ただこの映画に関して注意しておくべき点がいくつかある。それは、原作に忠実であるが故に、内容そのものに対して肌が合わない人がいるのではないかという点がひとつ。ふたつ目は、この映画がシンプルな娯楽映画ではないということである。だから、日本で最近量産されているTVドラマの延長でつくられているような映画を観に行く気分でいくと、痛い目をみてしまう人が多いような気が私にはする。最後に注意しておくべき点は、トラン監督による演出でじっくりカメラを回してみせていく場面が多く、観客の緊張をいくぶん強いるようなことも多々あり、このような種類の映画に慣れていない人にとっては気楽に映画を観ていられないかもしれない。しかし、このような難点があるとしても、原作が持つ鋭さをマイルドにして、娯楽色を強めるために原作を改変されたりするよりは、よっぽどマシだったと思う。私は今のかたちで映画をまとめてくれた監督に感謝したい。ありがとう、トラン・アン・ユン監督。


 レコード盤を模した凝ったつくりのパンフレット。

 


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母親殺しの物語 村上春樹『スプートニクの恋人』

テーマ:ノルウェイの森 - ジャンル:映画

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  1. 2010/12/13(月) 01:21:02|
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