○戯論遊戯○

無知蒙昧な人間が記す、ブログ。日々勉強。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
English Here
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

■見世物小屋ファンタジー 大越孝太郎『天国に結ぶ恋(1)』&丸尾末広『少女椿』


  大越孝太郎『天国に結ぶ恋(1)』      丸尾末広『少女椿

 見世物小屋は昔の人たちにとっては娯楽の一種だったのだろうか。私は推測するしかないのだが、私たちにとっての映画鑑賞やゲーム体験など普通ではありえないことを経験する場として、見世物小屋はその当時機能していたのだろうと思う。娯楽の多様化そして異常なものは排除し汚いものにはフタをする風潮がある世の中では、見世物小屋は衰退していくしかなかったが、見世物小屋がまだ人々の生活の身近にあった時代を想起するのに助けとなる良質なマンガは2冊もある。それが、大越孝太郎の『天国に結ぶ恋』と丸尾末広の『少女椿』である。

『天国に結ぶ恋』は、男女のシャム双生児である虹彦とのの子が、幽閉されていた家から関東大震災のイザコザで外に飛び出て、衆人の目に触れられたところを目につけられ見世物小屋に連れ込まれてしまう話。

『少女椿』は、父が蒸発してしまった家庭で、病気の母を助けるため 夜中路地裏で花売りをしていたところを山高帽をかぶった親切なおじさん に騙され、見世物小屋で芸人をやることになってしまった少女・椿の話。

 両作品とも、見世物小屋を舞台にしたマンガであるのだが、主人公の境遇はというと非常に対照的だ。虹彦とのの子はシャム双生児で元々身体的には見世物小屋側の人間であるのに対して、椿はふつうの女の子である。その境遇の違いが、見世物小屋での扱いにも反映される。虹彦とのの子はその男女のシャム双生児という存在の珍しさから、見世物小屋において丁重に扱われ、芸の内容としても二人で楽器を奏でながら歌を唄ったり、タップダンスをするぐらいで、行う芸としてみると過酷さを感じられない。翻って、椿の方は、なんの変哲もない女の子であるから、生きている鶏の首を食い切る芸をやらされるなど必然と過酷になり、見世物小屋での扱いも他の芸人から疎んじられ、あまつさえ小屋の芸人であるミイラ男にレイプされてしまうといったように酷いものである。

 両作品を読んでみると、見世物小屋では世間での価値観とは逆になっていることがわかる。姿が異質であればあるほど重宝されるのだ。だから、同じ見世物小屋を舞台にしていても『天国に結ぶ恋』と『少女椿』の作品のトーンは異なる。前者は、主人公たちが異質であることからも差別される見世物小屋側の人間たちに寄り添って物語が描かれるのに対して、後者はふつうの女の子の視点で物語が描かれ、その「ふつう」さにより、世間から差別されている人間たちに差別されるという構造になっている。ふつうとは?異質とはなんだ?といったようなこと念頭において読んでみるのも、この2冊のマンガの楽しみ方の一つだといえる。


 紹介した大越孝太郎の『天国に結ぶ恋』については、現在絶版で入手困難になっているみたいですが、マンガとしての素晴らしさ(表紙だけをみてもその魅力がわかります)とそのテーマの類のなさを考えると、興味を持たれたのなら、多少値が張っても手に入れられることをおすすめします。

    

テーマ:マンガ - ジャンル:アニメ・コミック

English Here
  1. 2010/04/16(金) 19:03:56|
  2. manga
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<■借りぐらしのアリエッティ 前売券特典「アリエッティ ミニ本 1」 | ホーム | ■エロとグロとギャグのシュールレアリスム 水島努監督『撲殺天使ドクロちゃん』>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://purplepig.blog28.fc2.com/tb.php/9-caaf16da
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

紫の豚

Author:紫の豚

twitter

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

book list

FC2カウンター

最近のコメント

ブログ内検索

google ad

カスタム検索

ad

blog ranking

人気ブログランキングへ

book log

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。